テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?
テニス肘とは、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」という病気の通称です。肘の外側から前腕にかけて痛みが生じるのが特徴です。
「テニス肘」という名前ですが、テニス選手だけでなく、日常生活や仕事で手や腕をよく使う人にも多く見られます。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の症状
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の主な症状は、肘の外側から前腕にかけて生じる痛みです。特に、手首や指を動かす特定の動作で痛みが誘発されやすいのが特徴です。
[痛みが誘発されやす例]
- ドアノブを回す
- タオルを絞る
- 重い物を持つ
- 手首を小指側に曲げる
- 手首を捻る

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の主な原因は、肘の外側にある腱への繰り返しの負荷(オーバーユース)と、それに伴う組織の変化(変性)です。
具体的には、手首(手関節)を甲側に反らせる(伸展させる)働きをする筋肉(特に短橈側手根伸筋や総指伸筋など)が、肘の外側の骨のでっぱり(上腕骨外側上顆)に付着する部分で、微細な損傷や炎症を繰り返すことで発症します。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因となる具体的な要因は下記の通りです。
1.オーバーユース
手首や指を繰り返し使う動作が、腱に過剰な負担をかけ、微細な損傷を引き起こします。
・スポーツ活動
テニス: 特にバックハンドストロークで手首を反らせる動作が多い
バドミントン、ゴルフ、卓球、剣道など、手首や腕を酷使するスポーツ
・職業上の動作
料理人: 重いフライパンを振る、硬いものを包丁で切るなど
大工、肉体労働者: 重いものを運ぶ、工具を繰り返し使うなど
事務職: 長時間のパソコン作業(キーボード入力、マウス操作など)で手首を反らせた状態が続く
農業: 草引きなど、手首や腕を使う作業
・日常生活動作
タオルを絞る、ドアノブを回す、ペットボトルの蓋を開ける。
赤ちゃんを抱っこする。
庭仕事
2.加齢に伴う組織の変化
テニス肘は、特に30代後半から50代以降の中高年に多く見られます。加齢に伴い腱の柔軟性・強度の低下、異常な血管や神経の増加、体幹筋力の低下といった変化が生じることが原因となっていることが挙げられます。
3.その他の要因
・フォームの問題
テニスなどのスポーツでは、不適切なフォーム(例: スイートスポットを外してボールを打つ、手首だけで打つなど)が肘への負担を増大させることがあります。
・道具の選択
ラケットの材質(硬すぎるフレーム)、ガットの種類(硬いポリエステルガット)、重さなどが肘への衝撃を大きくし、発症リスクを高めることがあります。
・筋力不足や柔軟性の低下
腕全体の筋力不足や、前腕の筋肉の柔軟性が低下していると、同じ負荷でも損傷しやすくなります。
・基礎疾患
糖尿病や甲状腺の病気がある場合、重症化しやすい傾向があると言われています。
・喫煙
血流を悪化させるため、治癒を妨げる要因となる可能性があります。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の治療
治療には保存療法と手術があります。保存療法では痛みの出るスポーツや動作を休止し、患部の負担を軽減させることが大切です。また、急性期で炎症が強い場合はアイシング(冷却)が有効です。
痛みの状況をみて、ストレッチ、マッサージ、筋力トレーニングを行なっていきます。また、日常生活やスポーツでの動作を見直し、肘に負担のかからないフォームや動き方を習得していくことも大切です。
肘や腕にかけての痛みは家事・育児など日常生活に支障をきたすことが多いと思います。痛みを放置させることなく是非お気軽にご相談ください。
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