TFCC損傷

TFCC損傷とは?

TFCC(三角線維軟骨複合体)とは、手首の小指側にある小さな軟骨と靭帯の複合体のことで、手首の安定性を保ち、力を分散させる重要な役割を担っています。TFCC損傷とは、このTFCC転倒やスポーツなどの外傷、または繰り返しの負担によって損傷した状態を指します。

TFCC損傷の症状

主な症状は、手首の小指側の痛みです。特に以下のような動作で痛みが出やすいです。

  • ドアノブを回す
  • タオルを絞る
  • 重い物を持つ
  • 手首を小指側に曲げる
  • 手首を捻る

TFCC損傷の原因

TFCC損傷の主な原因は以下の通りです。 

 

1. 外傷

・転倒して手をついた
手首に強い衝撃とねじれが加わることで、TFCCが損傷することがあります。これが最も多い原因の一つです。

・スポーツでの怪我
野球のバッティング、テニスのスイング、ゴルフなど、手首に強い力や繰り返しの負担がかかるスポーツで発生しやすいです。コンタクトスポーツでの衝突も原因となることがあります。

・交通事故

手首に直接的な衝撃が加わることで損傷することがあります。

 

2. 繰り返しの負担(オーバーユース)

・スポーツ

前述のスポーツ以外にも、手首を酷使するような動作を繰り返すことで、徐々にTFCCが損傷することがあります。

・仕事

デスクワークでの長時間のキーボード操作やマウス操作、重い物を持ち上げる作業、手首をよく使う仕事(料理人、職人など)も慢性的な負担となりえます。

・日常生活

スマートフォンの長時間操作など、手首に負担のかかる習慣も要因となることがあります。

 

3. 加齢による変性

加齢によりTFCCの組織が弱くなり、比較的軽い負荷でも損傷しやすくなります。

 

4. 尺骨突き上げ症候群

橈骨(親指側の骨)に比べて尺骨(小指側の骨)が長い場合、手首を動かす際に尺骨がTFCCや周囲の骨に衝突しやすくなります。この状態が続くと、TFCCに過剰な負担がかかり、損傷を引き起こすことがあります。生まれつき尺骨が長い場合と、過去の骨折などが原因で尺骨が相対的に長くなる場合があります。

 

5. その他の要因

・生まれつきの骨格

手首の骨の形状や配列によっては、TFCCに負担がかかりやすい場合があります。

・運動不足や筋力低下

手首周りの筋肉や靭帯が弱いと、TFCCにかかる負担が増加し、損傷のリスクが高まります。

不適切な姿勢や手の使い方: 日常生活や作業での不自然な手の使い方や姿勢が、TFCCに負担をかけることがあります

TFCC損傷の治療

治療には保存療法手術があります。保存療法では痛みの出るスポーツや動作を休止し「安静」にしましょう。痛みが出ることを避けて、炎症の改善のために患部の「アイシング」を行ないましょう。痛みが強い場合は、サポーターテーピングを活用してして手首の負担を減らしてあげることも有効です。 

 

痛みの軽減に伴い、TFCCの近くを走行する尺側主根屈筋尺側手根伸筋のストレッチ、握力強化、手関節周囲の筋力トレーニングを行ないます。また、スポーツや日常動作で手首に過度な負担がかからないように正しい動作習得を目指していくことも大切です。

 

手首の痛みは家事・育児など日常生活に支障をきたすことが多いと思いますので、痛みを放置させることなく是非お気軽にご相談ください。